新コロナウイルスによる閉塞感からか、近頃、私たちの心は乱れ、イライラは募るばかりです。その影響かネットの世界では、SNSでの誹謗中傷からか、若者が亡くなられたりと事態は無視できないものになっています。

 

アメリカはニューヨークのブロンクス動物園。そこには、「世界で最も危険な動物」が展示されています。檻の中には一枚の大きな鏡が立てかけられていて、鏡に写る自分が展示されているのです。動物の説明にはこう書かれています。「24時間ごとに19万匹の割合で増えているこの動物は、他の動物を絶滅させたことのある唯一の動物です。この動物は、今では地上の動物を絶滅させてしまう力を手に入れました」と。このコラムを読んで反論する方もいるでしょう。そうですよね、人間は危険な動物である反面、慈しみや思いやり、助け合って生きてきた歴史があります。

 

仏教では人の心に10の世界があると説きます。下は地獄から上は仏の世界までです。醜い心から、慈しみに満ちた心が、同じ人間の中に同居しているというのです。今回の新コロナウイルの出来事が、人間の負の部分を呼び覚ましたようです。苦難の今こそ、お互いが助け合い、思いやる仏の心を持つべきではないでしょうか。

 

松原俊道さんに「お大事に」という詩があります。

 

体にいいから野菜を食べよう

 

健康にいいからどんどん歩こう というけれど

 

心にいいから夕日を見よう とはあまりいわない

 

体だけはお大事に とあいさつするけど

 

心をお大事にね とはあまり言わない

 

世界中の人たちが今、必死に終息を祈っています。きっと、今は雲で覆われている空も、その上はいつも青空のように、希望を持って生きていきましょう。

 

終息後の世界が、「心」を大切にする時代になりますように。