肥満は健康に良くないといわれています。そんなことは百も承知といいたいのですが、私の体型も、しっかり肥満です。学生時代からすると30キロ以上も太っています。今流行りの言葉で言えば、メタボリック症候群の仲間入りをしているといってもいいかもせれません。

 

 先日、健康診断を受けたとき、お医者さんから、「このままでは、いえ今すぐにでも、身体が大変になる可能性がありますよ。もっと運動をなさってはいかがですか」とのアドバイスを受けました。食べることは大好きだけど、身体を動かすのは苦手な私です。そこで「太っている方が、お坊さんは貫禄があると言われるのですけど」と自己弁護を試みると、お医者さんは苦笑いしながら「それも程度もんじゃありませんか。いくら貫禄があっても、死んでしまったら元も子もありませんよ」といい、こんな話をしてくれました。「作家の渡辺淳一さんはご存じでしょう。あの人は医者でもあるんですが面白いことをいっています。彼の説によれば、(成人病の原因は、人間の内臓が5千年前から変わってないのに、人間の食生活の方は大きく変化していることにある。分かりやすくいえば、5千年前の先祖に較べ、現代人は、旨い物を食い過ぎ、おまけに身体は動かさない。それがわるいのだ)となるんですけどね」といったのです。いやはや耳の痛い話です。

 

 さらにお医者さんは、こうもいったのです。「外国の諺に、(煙草好きの肺、酒飲みの肝臓、それに怠け者の心臓は、いつも病気に狙われている)というのがあります。あなたの場合はどうですか」と。

 

 この言葉を聞けば、耳の痛いどころではありませんでした。煙草は以前にやめたものの、お酒の方は、なかなかコントロールが出来ません。その上、怠け者の心臓といわれては、思わず胸がキューンと締めつけられる思いがしました。

 

 「いいですか、心臓の筋肉というものは、動かさないとすぐに細くなってしまうのです。もっとも心臓が動かなくなれば、人生、それでお終いですが、防ぐ方法はちゃんとあります。それは歩くことです。1日1回、30分ほどでいいですから、歩いて下さい。お寺は広いから、歩く所はいくらでもあるでしょう」と、このお医者さんにいわれてしまったのです。

 

 成人病も、今では生活習慣病と呼ばれ、中高年の人だけでなく若い人にまで見られるようになっています。渡辺淳一さんにいわせれば「うまい物ばかり食うのは自殺行為に等しい」とか。お釈迦様の「小欲知足」、欲少なくして足を知るという言葉を、良く噛みしめなければならないと自分自身に言い聞かせている私なのです。